top of page

栃木県の特色選抜が今後どうなっていくかの考察


3月に栃木県立高等学校入学者選抜制度改善検討委員会(以下長い名前の委員会)の方からこのような通達が出た。



実に28枚にわたる資料であり、よっぽど暇な人でない限り読む気も湧かない資料であることは間違いない。


ということで今回は、暇人×塾講師の私が資料を読み込んでの要約を行おうと思う。


実を言うと前述の資料は、栃木県教育委員会に対する、長い名前の委員会からの報告になっている。


つまり、「現状こういった問題が起きてることが分かったので、そちら側で解決お願いしまーす。」という資料なのだ。


ということでこの資料は、栃木県立高校入試がどのように変わっていくか、その方向性を示すものとなっている。


完全に資料の通りになるかは現時点では不明なのだが、この資料を読むことで、特色選抜が今後どのような変貌を遂げるのか、その一端を知ることができると思う。


【結論】数年後、特色選抜に学力試験+独自試験が導入され、試験の時期も一般選抜と同じになる

数年後の特色選抜は、現行のものと大きく違ったものになりそうだ。


まず、その前に現行の特色選抜をおさらいしよう。


現行の特色選抜は、2月初旬に面接及び小論文(作文)の試験を行うことによって、2月中旬には内定が決まるという運びになっている。


この選抜に関する問題点として、資料では、


  • 高校側が、調査書に記載される評定だけでなく、客観的な学力検査の結果を資料として活用したい。

  • 2月の早い段階で合格が内定した中学生の場合、学習に対する意欲が低くなり、高校入学後の学習に不安を抱く。

  • 資格要件に合致した者が特色選抜に出願するというよりも、単に1回多く県立高校を受験できる機会と捉える、中学生及びその保護者が散見される。

  • 特色選抜で不合格になった場合、気持ちの整理がつかないまま一般選抜への出願となり、また、そういった不合格者の多くが一般選抜においても、同一校、同一学科を受けているので、特色選抜の意味が薄れる。

  • 高校側は選抜方法として作文、小論文、学校作成問題、口頭試問、実技などから選択ができるが、現状多くの学校で選抜の方法として採用されているのは、作文及び小論文である。


といった問題点が挙げられている。


そこで、改善の方向性として挙げられているのが、以下4つの提言である。


  1. すべての受験者に対する学力検査の実施

  2. 特色選抜と一般選抜の日程の改善

  3. 特色選抜における多様な選抜の方法の導入

  4. 追検査・再募集の実施


【提言1】すべての受験者に対する学力検査の実施

今回の報告書の一番の目玉はこれだと思う。


これが制度化されると、特色選抜のハードルは現在のものより高くなると考えられる。


【提言2】特色選抜と一般選抜の日程の改善

また、資料には


すべての受験者に対する学力検査を実施するために、特色選抜と一般選抜は連続する2日間以上の同一日程で実施することが適当である。

とされており、提言1を含めると、


全生徒試験を行う→特色選抜を行う(反対の可能性もある)


第1次選抜として特色選抜の定員を合格にする→第2次選抜として残りを一般選抜で選抜する


という流れが、資料に沿えば最も考えうるシナリオだ。


【提言3】特色選抜における多様な選抜の方法の導入

面接においては提言3で示唆されている通り、各高校が策定するアドミッションポリシー(入学者の受け入れに関する方針)を明確、かつ理解しやすいものにした上で、各高校の実態に応じた選抜の方法を要請しており、例として


  • プレゼンテーションを通して発信力や表現力を評価する

  • 実技検査を通して専門的な技術・技能などを評価する


といった方法が挙げられている。


専門学科に関してはより、自身の持つ技術の発信などが必要になってくるのかもしれないし、例えば英語に強みを見出している学校・学科であれば、英語によるスピーチなども導入されてくるかもしれない。


まとめ

以上、暇人塾講師の私が28枚の資料を読み込んでの要約だ。


再度にはなるが、長い名前の委員会からの報告であり、これを踏まえて教育委員会がどう制度を変えていくかの話にはなってくる。


しかしながら、時期はともあれ、いずれ県立入試を大きく変えるであろう波である。


塾講師含め教育関係者は把握しておくべきと思う。


もしこれを読んでいるのが小中学生の保護者であれば、とりたてて何か行動すべきことはない。


特色、一般に関係なく、志望校に受かるだけの学力をお子さんが身につけるだけだ。


多様な選抜に関しても、実際に各高校が何を行うか明確ではない現時点では、何の対策も取りようがなく。


しいて言えば「あなたがその高校に行きたい理由」を明確に持ってさえいれば、あなただけの強みとなる経験が、今のうちから作れるのではないかと思う程度だ。

特集記事
最新記事
アーカイブ
タグから検索
ソーシャルメディア
  • jugem
  • Twitter Basic Square
bottom of page